生殖能力への影響 [編集]
1974年に発表された男性の長期大麻常用者を対象とした研究では男性ホルモンの一種であるテストステロンが減少し、性機能が低下して精液に異常が見られたと報告されている[71]。が、他の研究ではテストステロンの減少を再現できていない[72]。1日にジョイント20本の喫煙を30日間強制させた実験では僅かに精液の濃度が低下した[73]が、結果は正常範囲内であり、生殖力に影響することはないとされている。
女性の長期大麻常用者の生殖機能が低下するといった疫学研究はなく、女性ホルモンに影響することを示した研究報告もない[74]。動物実験では大量にTHCを投与した場合にホルモンが変化し排卵が抑制され、投与を中止した場合に正常化されたとする研究報告がある[75]。別の実験ではメス猿に対して1年間のTHC投与で耐性が形成され正常な排卵周期に回復している[76]。
妊婦・胎児への影響 [編集]
妊娠時の大麻喫煙は胎児に害を与えるといった調査報告がある[77]が、母体の加齢,タバコ,アルコールなどの交絡因子を考慮した場合、大麻との関連性の統計的有意性を失うことが指適されている[78]。また多くの研究では大麻による悪影響を見出していない[79]。
ジャマイカで行われたフィールド調査では妊娠時に大麻をお茶にして飲んでいることが多かった母親とそうでない母親の乳児を比較した結果、差異は見出されなかった[34]。
脳への影響 [編集]
初期の研究には重度の大麻使用者の脳に構造的変化が見つかったと主張するものもあるが、それ以降の先進的な研究では再現されたことはない[34]。
器質的には、17歳以下からの大麻常用で、大脳は灰白質の割合が小さくなることが報告されている[80]。これに対して、ネイサン・クライン精神医学研究所とニューヨーク大学医学部のMRI装置を使って、18歳以下の被験者を対象とした研究では「脳萎縮症や大脳白質全体の発育不足などが起こるという証拠はない。」としている[81]。ハーバード大学医学部[82]などの別のMRI研究でも大麻使用者と非使用者の違いは見られなかった[83]。
オハイオ州立大学の研究では大麻の特定成分が老人の脳の炎症を減らすだけではなく、新しい脳細胞の生成を促す可能性があるとしている[84]。また、大麻成分のカナビノイドがアルツハイマー病の症状を緩和し病気の進行を抑える役割があることが分かっている[85]。
無動機症候群 [編集]
倦怠感による生産性の低下、注意力欠乏といった症状を無動機症候群としているが明確な定義はない。
大麻によって無動機症候群が発症するとされているが、重度な大麻使用が原因で無動機症候群が見られたとするケースでも、大麻の使用と無動機症候群との因果関係を示す説得力のあるデータはない[34]。
高校生を対象とした調査では大麻使用者と非使用者との平均点の違いはほとんど見られず[86]、大学生を対象にした調査でも大麻使用者のほうが非使用者よりも成績がよいことが判明[87]し、ほとんど同じように学業を達成している[88]。実験研究においては大麻には学習や成績・意欲に目立った悪影響は何もなく[89]、大麻を与えた被験者のほうが対照群よりも長時間働き、研究の終了時にも同等の得点を獲得している[90]。南カリフォルニア大学[91]やスイス[92]、フランス[93]の研究でも同様に大麻使用者と非使用者と比べても無気力になったり成績悪化や非行行動を起こすといったことは見られなかった。
発ガン性 [編集]
フランスの消費者情報誌 60millions-magazine が行った研究によると、大麻の最も一般的な消費方法である「ジョイント(紙巻大麻)」として消費する場合、吸引される煙に含まれる有害化学物質は、通常のフィルター煙草(実験ではマールボロ赤箱と比較)の約7倍であるという調査結果[94]がある。つまり、ジョイント(紙巻大麻)3本で煙草20本分という計算になる。これはフィルターを通さないことでタールなどの有害物質を直接摂取してしまうことが要因としてあり、煙草と同じような吸い方で大麻を吸った場合にはタール量は変わらない事が示されている[95]。また、大麻と癌の因果関係は疫学・臨床研究は少ない為、確証には至っていないが、大麻の長期常用は煙草の煙と同程度に気管支や上皮細胞が前ガン状態になりやすいとしている。また、煙草と大麻の併用が慢性閉塞性肺疾患の症状が悪化することが示されている。
大麻は依存性が低く、少量で十分な効果を得ることが可能であるため、煙草のように長期間に亘って毎日のように終日何本も吸うことは非常に稀である。これに対してタバコ喫煙者はタバコを1日に平均15?20本[97]をほぼ1年中繰り返して吸うため、タバコ喫煙者の方が消費量が多い[34]。実際に大麻喫煙者が被る害は、1日の一般的な消費量(煙草20本、ジョイント1本)[要出典]で比較して、煙草の1/3ほどということになる。
カリフォルニア大学の主導で行われた研究では「長期的に大麻を常用していても肺ガンになるような関係を全く見出すことはできなかった。」としている。また年間のジョイント消費量が10?30本の大麻使用者に限ると逆相関関係にあることが示された。これに対してタバコ使用者の場合は肺ガンの発病リスクが20倍になるとしている[98]。別の研究でも口腔ガンと上気道ガンも大麻との関連性は無いとしている。
大麻成分のカナビノイドには抗ガン作用と生物の活性や反応を刺激し煙の発ガン作用を抑制してガンの発生を誘発する不安定なフリー・ラジカルの生成に関連する免疫システムの暴走が起こらないようにする働きがある[101][102]。これに対して、タバコの煙に含まれるニコチンはガン細胞の成長を促進し、細胞に血液を供給する働きが知られている[103][104]。
毒性 [編集]
メルクマニュアルによれば、吸引した場合のΔ9-THCのLD50(テストしたラットの内、50%に対して致死量)は、体重比にして42 mg/kgである[105]。経口で摂取する場合、雄ラットのLD50は1270 mg/kgであり、雌ラットは730 mg/kgである[106]。経口で致死的な過剰摂取状態に陥るには、カンナビノイド受容体を飽和させる量の40,000倍の量の大麻が必要である[107]。大麻の過剰摂取によって、死亡したり、恒久的な損傷を被ったとする報告は現在までにない。
LD50の比較
アルコールの経口投与 LD50:若年ラットでは10.6 g/kg、成長したラットでは7.06 g/kg[108]
ニコチンの経口投与 LD50:ラットでは50 mg/kg[109]。
食卓塩の経口投与 LD50:ラットでは3000 mg/kg[110]
カフェインの経口投与 LD50:ラットでは192 mg/kg[111]
THC(大麻が作用を及ぼす原因物質)の経口投与 LD50:ラットでは1270 mg/kg
依存形成 [編集]
各研究報告では、薬物の依存性を以下のように報告し、大麻の依存性は低いとしている。
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